大人数アイドルが”口パク”をする理由についてメジャーアイドルの元マネージャーが解説
今回は、48グループや46グループで時たまみられる”口パク”について書こうと思います。
自分がマネージャーとして働いていた時もよく目にする光景でしたし、アイドルの話題になると必ず出現するこの口パク問題ですが、どうして口パクにしなければならないのかについて解説したいと思います。
結論からのべてしまうと、”マイクの上限本数が決まっているから”です。
ミュージックステーションや大きな会場でのイベントでもそうなのですが、現場ではかなり多くの機材が使用されていますね。
その際に、使用できるマイクの本数の上限が決まっており、多くても13本くらいしか使用できないことがほとんどです。
では、なぜ使用本数に上限があるのか。
みなさんも経験があると思いますが、公共機関のWi-Fiなどを使用した際に、通信速度がすごく遅かったことはありませんか?
同じことがここでは起きています。
回線に乗せられるマイクの上限が使用できるマイクの本数となり、あまりにも多く使用してしまうと混線から、ハウり(マイクのキーンって音)などの原因にもなります。
そのため、48や46のような大人数でパフォーマンスをするアイドルでは、人数分のマイクを用意できないのです。
このような機材的な側面が一番の理由でしょう。
ほかには、ダンスがメインとなっているグループでは、上記の理由で生きマイクの本数が少なくなってしまうと生じる問題があります。
それは、楽曲が成立しなくなってしまうことです。
成立しないと書いてしまうと、いろいろな意味で伝わってしまうので、解説しますね。
近年のアイドル系楽曲の流行として、セリフのような歌詞や、同じ音程で言葉を多く詰め込んだ歌詞(少し前のRADWIMPSのような歌詞)が主流になっており、さらに、欅坂46のようなダンスをメインとするアイドルグループの楽曲では、激しいダンスのため歌詞割がかなり細かく設定されています。
これは、パートを細かくすることで息切れ防止や他メンバーでカバーしあえること、さらに、大人数グループの宿命ですが、一人一人にスポットが当たる瞬間がとても少ないという問題を解消しようとしたことによるものです。
そこで起きるのがこの”成立しない問題”です。
まず、生きマイクの本数の上限について先ほど言及しましたが、多い場所で13本程度であり、上限は会場の大きさや設備により異なります。
そのため、10本以下となってしまう会場や、マイクをたくさん使用することを想定していない会場(小さなライブハウスや、大型ショッピングモールなど)では、使用できる本数はかなり少なくなってきます。
そうなると、生きマイクを使用できるメンバーの数が限られてしまい、それぞれのパートが薄くなってしまったり(CDほどの声の厚みを出せず音源に入っているかぶせが透けてしまう)、少人数のメインメンバーのみの歌唱になり音程のずれをカバーできなくなってしまうといった問題が生じます。
これが、楽曲が成立しない問題です。
これを無くすために、音源を使用する方法がとられていることもあります。
もちろん、上記以外の理由によりこの方法を採用している事もありますが、一番の理由はこの生きマイクの上限が限られている事による問題でしょう。
ネットでは、いろいろな理由が飛び交っていますが、実際のところはこれが真相だったりします。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。